粧 [上高地]
今回が、晩秋の上高地、最終回です。
ケショウヤナギ(化粧柳)の冬芽と小枝が、赤く色付き始めていました。
まるで紅葉しているように見えます。赤く色付くのは晩秋から翌春にかけての間です。
EOS40D / EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM / 28mm(約45mm) F11 / 1/640sec / EV-2/3 / ISO400
2008/11月中旬/13:22 上高地・小梨平より
夕方のような樹の影の出方ですが、まだこれから遅い昼食を取る時間です。小梨平から穂高連峰を眺めると、前穂高岳は明神岳の影に隠れてしまいますが、西穂高岳から奥穂高岳にかけてが見通せるようになります
EOS40D / EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM / 17mm(約27mm) F13 / 1/400sec / EV-2/3 / ISO400
2008/11月中旬/12:52 上高地・小梨平より
絶滅の危機に瀕する上高地のケショウヤナギ。囲みの中を読んで頂けたら幸いです
EOS40D / EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM / 26mm(約42mm) F18 / 1/320sec / EV-2/3 / ISO400
2008/11月中旬/13:31 上高地・小梨平より
日本国内で、自生のケショウヤナギの群落があるのは、北海道以外では、この上高地に限られます。氷河期からの生き残りで、1属1種の珍しいヤナギです。絶滅危惧種に指定されているのですが、北海道ではすでに、人の手によって大幅に減少してしまいました。上高地が、日本国内のケショウヤナギの最後の砦とも言えるのです。
ケショウヤナギを検索していくと、河川改修工事に行き着きます。ケショウヤナギの自生には、他の植物が生育出来ない、粗い砂礫の土壌が必要です。洪水の影響を受け蛇行した河原の砂礫地が、必要不可欠なのです。河川の流路と土壌が安定すると、他の樹木に占有されてしまいます。河川改修・護岸化で、砂礫の河原が更新されなくなると、ケショウヤナギの林も同様に更新されなくなり、いずれは絶滅すると予想されています。
北海道の河川改修工事により、ケショウヤナギに壊滅的被害を与え、その復元に多大な努力が払われています。しかし、少しずつケショウヤナギの生態について分かってきた段階で、未だ復元には程遠い状況です。そしてこのような過去があるにもかかわらず、最後の砦の上高地でも、自然界への影響を十分に検討されない工事によって、この貴重な種の存続が危ぶまれています。
貴重な自然の残された上高地に、本当に大規模な河川改修工事が必要なのでしょうか・・・。
もちろん河童橋周辺など、人的被害が予想できる場所は改修が必要でしょう。しかしそれは、最小限に止めるのが、自然環境・景観が最大の魅力となっている上高地においては、当然のことではないでしょうか。河童橋付近だけ見ると分からないかも知れませんが、明神から横尾にかけては、河川の流れまで変えてしまうような、大規模工事を行っています(写真は明神橋)。あまり人目に付かない場所で、そして閉山してからが、本格的な改修工事の時期となります。まるで人目を避けているようにさえ見えます。
きちんとしたデータも示さないまま、大洪水だけを想定した改修工事・・・。都合の良い数値を作り上げるのが上手なお役所ですね。環境省に本気で頑張ってもらわないと、氷河期から延々と生き抜いてきた上高地のケショウヤナギを、我々の代で絶えさせてしまうかも知れません。
特別天然記念物(特別保護区域)ということで、いろいろな規制が設けら、我々一般人はそれに従っています。もちろんそれには、環境保全に繋がる訳ですから、進んで素直に従っているのです。しかし「防災」「砂防」の名の下に、こうした工事は、一般人の手の届かないところで着々と進行しています。みなさん御存知だったでしょうか・・・
河童橋周辺のケショウヤナギも、赤く色付いてきました。
川面を大きく撮りましたが、日が陰った川面は色合いも悪かったので、左下を少しトリミングしました。
この画像に写っているケショウヤナギの周りには、幼樹の生える環境はすでにありません。この親木の寿命が来たら、この場所からケショウヤナギは姿を消します。現在残っている幼樹林を守るだけでなく、さらに先の世代まで、幼樹が新たに生育し続ける環境を守ることが急務なのです
EOS40D / EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM / 20mm(32mm) F10 / 1/640sec / EV-2/3 / ISO400
2008/11月中旬/13:48 上高地・バスターミナル付近より 約1010万画素→約750万画素にトリミング
少し真面目な話を途中に入れましたが、知らない方が多いだろうと思い、あえて書きました。
さらに詳しくお知りになりたい方は、上高地・河川改修・ケショウヤナギなどのキーワードで検索してみて下さい。きちんと研究された こちら のページの結論部分、その最後にある「ただちに、人為的な自然の改変を中止すべき」というのが最善の方策であると思います。
これにて、閉山前日の上高地の記事を終了します。これにてネタ切れとも言います(^^;
雪が積もれば、美ヶ原で遊びたいのですが、ネタ作りとなると、昨年と丸かぶりになりそうです。
まだ見ぬ景色を求めて、新しいフィールドにも足を踏み入れなくてはいけなさそうですね。
スノーシューの装備はあっても、雪山装備は持っていません。「雪崩」「滑落」などの危険性のある場所へは踏み込むつもりはありません。冬用テント・シュラフも無いのですが、春にテン泊をするなら、いずれ必要になりそうですが・・・。
それでは皆様、少し早いですが、よいお年をお迎えください m(_ _)m
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タグ:穂高岳